健康に暮らせる住まいと換気システム

人は 1 日のうちの 70%以上の時間を室内で過ごすといわれています。室内は自宅だけではなく、職場、学校、病院やさまざまな施設など多岐にわたります。私たちが呼吸によって毎日取り込む建物内の空気の質は、私たちの健康や生活の質に大きな影響をあたえると考えられます。室内の空気環境が悪いと、私たちの健康を蝕み、さまざまな病気の原因となりうるのです。主な空気の汚染源としては、室内の建材や設備、家具などに含まれる化学物質や微生物・真菌などの生物、室内の湿気の上昇による結露やカビなどがあげられます。では、室内の空気環境を改善するためにはどうしたら良いのでしょうか。一番効果的なものは室内空気の換気です。ここでは、換気の必要性についてさらに詳しく考えてみたいと思います。

室内換気はなぜ必要か?

日本では、1990 年代より個人が暮らす住宅において住宅の気密性能や断熱化の向上が進み、「シックハウス症候群」として全国的に大きな社会問題となりました。当時の住宅は機械による換気の設備はほとんどなく、建築資材に合板やプラスチック系の建材使用が進み、汚染物質発生量が増大してきたのがシックハウス症候群の原因と考えられます。シックハウス症候群の広がりにより、2003年7月1日施工の改正建築基準法により、告示対象建材に対して、シックハウス対策に係る規制が設けられ、換気設備設置の義務付けやアルデヒド類及びトルエンなどVOC類の使用規制がなされ、シックハウス症候群は減少していきました。しかし、最近の調査によると、下記の表に見るように増加の傾向になっています。

住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住宅相談統計年報2018より

これは、今まで使われていなかった化学物質が規制物質の代替として使用されるようになってきたことの影響と思われます。しかし、まだ研究が進んでいないため、人への影響はわかっておりません。また、近年「ゼロエネルギー住宅」が注目され、住宅の高気密高断熱化がさらに進んでいる影響も見逃せません。

汚染物質の侵入経路と繁殖

住宅の高気密高断熱化は、アレルギー患者の増加にも影響を与えていると考えられています。花粉を含むアレルギー性鼻炎について平成8年に実施された厚生労働省による患者調査によると、アレルギー性鼻炎の有病率は、約43.8万人でした。それが平成26年における調査では、約66.3万人と1.5倍にもなっています。

室内空気が汚れているとアレルギーにも悪影響

アレルギー患者の増加は、住宅の高気密高断熱化による室内空気の汚染も原因とされています。汚染のもとは、花粉」「ダニ」「カビ」「ハウスダスト」「ペットの毛や羽毛」などで、これらが部屋から排出されないために室内空気が汚れていきます。住宅性能が向上する一方で、健康に暮らせるはずの住まいの中で病気になるというデメリットが生まれてしまうのです。これは大変深刻な問題です。

室内を汚している「花粉」「ダニ」「カビ」「ハウスダスト」「ペットの毛や羽毛」の侵入経路をみてみましょう。
「花粉」は、玄関や窓を開けたときに室内に入ってきたり、衣服や持ち物に付いていた花粉が帰宅したときに室内に持ち込まれることは容易に想定できます。また、「ペットの毛や羽毛」は、室内でペットを飼って入れば必然的に発生します。「ハウスダスト」は、衣服や寝具から発生したり室外から持ち込まれることも想定できます。
では、「カビ」や「ダニ」についてはどうでしょう。
「カビ」はキッチンやお風呂といった水廻りの湿気がたまりやすい場所に発生します。その他に窓やその周辺、そして壁や壁の中なども発生源となります。窓や壁は室外と接する場所であるため、室内と室外の温度差により結露が生じることで湿気がたまるためにカビの発生がおこりやすいのです。
一般的に、湿度が60%を超えるとカビの発生や繁殖がしやすくなると言われています。カビは増殖に都合のよい条件におかれると、2~3日で目に見える塊(集落)になり、1週間もするとたくさんの胞子を作り、周囲にまき散らします。作られた胞子は、室内の風や人の動きで他の場所に運ばれ、再び発芽し発育します。このくり返しによりカビは広がります。この胞子やカビ自体の死骸がハウスダストとなり、アレルゲンになっていきます。
人やペットにより運ばれてきたダニも、湿度が60%を超えると繁殖しやすくなるようです。さらにバクテリアは、湿度が30%以下及び60%以上で活発になると言われています。つまり、湿度を30%~60%の間に保つことが、これらのアレルゲンの発生を抑えることにつながり、喘息や結膜炎といった疾病を予防することにもなります。湿度をある程度一定にするためには、常時、きれいな空気を循環させることが効果的です。

健康的に暮らすために必要な換気の条件とは?

健康に暮らしていくために、室内の空気を循環させたり清潔に保つためには、換気が必要不可欠となります。すぐにできる換気方法は、窓を開けたり閉めたりする、いわゆる自然換気です。しかし、室内の汚れた空気を室外に追い出すと同時に、新たな花粉などの汚染物質を室内に呼び込むことになってしまいます。さらに、冬であれば室内の暖められた空気も室外に出てしまうため、エネルギーの無駄になってしまいます。
では、理想的な換気の条件とは何でしょうか。

1.室外の新しい空気を室内に給気すること
2.室内の汚れた空気を室外に排気すること
3.室外の新しい空気に含まれる汚染物質を除去すること
4.室内の温度を外部に逃がさないこと
5.24 時間常時換気されていること
6.省エネルギーであること
7.室内の空気をできるだけ偏り無く換気すること

これら7つのポイントをすべて満たす換気が理想的と考えます。
現在、換気システムには「第1種」「第2種」「第3種」の3種類があります。第1種換気システムがこの7つのポイントをクリアすることが可能です。

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